就活デモ(就活の嫌だと思うところ、学生側からも発信していきませんか?デモ)

2020年11月23日に予定されている就活デモに関する情報を発信していきます。

ただの学生がビビりながら初めてのデモ申請やってみた

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デモをやってみたい方、デモ申請ってどんな感じなのか知りたい方に向けて、デモ申請の体験談を掲載します!なお、地域によってルールが異なるかもしれませんので、あらかじめご了承ください。

日本でデモを行うには、申請が必要であるとなんとなく知っていたものの、デモ申請の方法なんて学校で教えてくれるはずもありません。インターネット上にも少しデモ申請の体験談が載っていますが、警察と激しい応酬を交わしているものもあり、最初からビビりながら準備を進めました。

8月某日(デモ3か月前)

とりあえず、デモをどこで行うか決める会議をしました。人が集まりそうで、かつインパクトがあるところを探したところ、リクルート経団連会館が丸の内・大手町方面にあることが分かり、丸の内には就活生が多いイメージもあったので、東京駅近くにデモルートを設定することになりました。このあたりで行われた過去のデモを調べると、日比谷公園を出発するデモが多かったので、それにならって、私たちも日比谷公園を出発地点にしました。あとは、日比谷公園リクルート本社前→経団連会館前を地図上でつないで、暫定のデモルートとしました。

デモルートがめでたく決まったので、所管する丸の内警察署に電話をかけました。警察に電話するなんて初めてなので、ドキドキです。代表電話からデモを管轄する警備課に繋いでもらい、「デモを行いたいんですけど、どうしたらいいですか?」と質問しました。すると、日時、団体名、デモの趣旨、人数、車を使うかどうか、予定しているデモルートを尋ねられました。そして、11月頃に丸の内警察署か警視庁を訪れ、デモ申請書類を提出してほしいとのことでした。今すぐにデモ申請をして、ルートを確定させたかったのですが、仕方ないので、11月まで待つことになります。

11月某日(デモ2週間前)

11月上旬、デモ申請の日程を調整するために警察署から電話がかかってきました。デモルート3パータンを伝え、デモ申請に行く日を決めました。

いよいよ、デモ申請当日を迎えました。丸の内警察署に行き、用件を伝えると、小さな会議室に通されました。こちらは1人に対し警察官3人と、さながら面接のようで緊張しましたが、希望のデモルートを毅然と主張しなければいけないので、怖がってばかりもいられません。警察官のうち、1人は警視庁本庁からやってきたと話し、この人が中心となり、話を進めました。

日時、デモの名前、団体名、デモの趣旨、参加予定団体、人数、車を使うかどうかを尋ねられます。団体名は決めていなかったので、その場で「就活デモ2020実行委員会」を名乗ることに決めました。参加予定の団体については、特定の団体に所属せず、SNSで参加者を募っているので、答えようがありません。しかし、なにか書いた方が公安委員会が審査しやすいと主張され、仕方がないので、「〇〇大学の学生など」とすることにしました。大学で組織的に参加するわけでもないのに全くおかしな話なのですが、警察官はなにやら満足そうでした。人数も当日になってみないと分かるはずもないのですが、話が進まなさそうなので、とりあえず30人にしました。

そして、デモルートの打ち合わせになりました。地図を見せられ、皇居周辺がデモの許可が降りた実績がないことを知らされました。そうなると、日比谷公園から銀座・東京駅方面に向かうルートは、ほぼ一つに限られてきます。このルートでは、リクルート本社前は通りますが、経団連会館前は通りません。経団連会館前は許可が降りたことのないエリアに含まれており、警察官と何度かやり取りを交わしましたが、やはり許可が降りないだろうという一点張りでした。そこで、「経団連会館前の公道で一般の交通の妨害にならない範囲で街宣をやりますが、それでいいですか?」と聞くと、それは警察が許可を出すことではない=やってもよい、とのことでした。こうして、日比谷公園を出発し、経団連会館近くの神田橋公園で解散するルートが出来ました。「長時間だと中だるみすることがある」など、謎のアドバイスをされましたが、適当にかわしました(実際、少し中だるみしていましたが)。

その後、デモが通過する所轄の警察署への確認と日比谷公園事務所への電話をしてから、「集会・集団示威運動許可申請書」に必要事項を記入しました。「集会」は行わないので、集会と記載されている部分には二重線を引いて、訂正印を押すのですが、これが非常に面倒でした。3通分もあるので、合計で20か所以上に印鑑を押しました。

1時間強で手続きは終わり、後日、デモ申請の許可書を受け取りました。

デモ申請中には、警察官の親切心なのか、「横断幕はあった方がいい」「さすが〇〇大学の学生さんですね」などいろいろ言っていました。私は、警戒心が強いタイプなので、真意はどこにあるのだろう?と思っていましたが、もしかしたら本当に親切でいい人だったのかもしれません。

以上、初めてのデモ申請の体験談でした。私たちは直接警察署に出向いてデモ申請をしましたが、郵送するという手段もあるそうです。実際に使えるのか分かりませんが、リンクをご紹介しておきます。

https://spiders-nest.hatenadiary.org/entry/20140905/1409858180

 

 

就活デモ2020日程終了のお礼

2020年11月23日、「就活の嫌だと思うところ、学生側からも発信していきませんか?デモ」(就活デモ2020)が無事に終了しました。当日は、経団連会館前での情宣活動に加わった方も含めて、のべ約30名の方に集まっていただきました。主催者の想定を大きく上回る人数で、参加してくださったみなさんに感謝申し上げます。また、オフライン・オンライン問わず就活デモに共感し、応援してくださった全ての方にお礼申し上げます。

 

初めてのデモ企画ということで、なにかと不慣れな点が目立ったかと思いましたが、みなさまの協力によって、なんとかやり切ることが出来ました。過去に開催された就活デモを大いに参考にさせていただきながら、ジェンダーなど新たな方向性も打ち出すことが出来たと考えております。個人的には、トランスジェンダーフラッグを模した自製プラカードを持ってきてくださった方がいて、とても印象に残っています。

 

今後の活動については、何も決まっていません。なにかやりたくなったら、やるかもしれないし、なにもしないかもしれません。元々、気軽な思い付きで始めた企画で、「楽しくなければ意味がない!」と考えているので、なにとぞご容赦いただければと思います。

 

でも、人脈や実績がなくても、「コミュ力」が低くても、たった一人からでも、このような運動を起こすことが出来ると知ったことは、貴重な経験になりました。もちろん、多くの方々のご支援があったからこそ実現しましたが、なにか強い信念を持つ若い人を応援したいと考えている人々が思いのほか、たくさんいらっしゃることを知りました。デモに限らず、なにかやってみたいことがある人は声をあげてみると、なにかが変わるかもしれませんよ!

 

このブログは、もう少し続けたいと思います。デモ申請の体験談など、社会運動を始めたいと考えている人の役に立つ情報を掲載していく予定です。よろしければ、引き続きご覧ください。最後に、メディアへの掲載情報と当日のコール案を載せておきます。

 

<メディア掲載情報>

 

<コール案(一部)>

【就活全般】
大学生活を返せ!
学生の人生をもてあそぶな!
大学で勉強させろ!
大学は就職予備校じゃない!
就職活動、早すぎるし長すぎる!
生殺与奪の権を面接官に握らせるな!!
「採用には関係ありません」嘘つくな!
就活ルールを守れ!
平日に面接するな!
平日にインターンするな!
夜10時に電話かけるな!
非通知で電話かけるな!お前誰やねん!
非効率な就活マナーやめろ!
意味不明な就活マナーやめろ!
真夏にスーツ着させるな!オフィスで水着着るぞ!
真冬にスカート着させるな!
ノック3回、誰が決めた?
手書きのES、時代遅れ!
コミュ力ってなんだ?
自己分析ってなんだ?
就活セクハラ、今すぐやめろ!
パンプス強制、ふざけるな!
面接で恋愛経験を聞くな!
就活で、おっさんの性欲を発散するな!
トランスジェンダー差別をやめろ!
人間の価値を性別で判断するな!
女子学生も地方学生も差別するな!
交通費よこせ!
新卒一括採用やめろ!
まともな就職先を用意しろ!
コロナは私たちのせいじゃない!
夢を諦めないぞ!
自己責任に屈さない!
おかしいことにはおかしいと言おう!
日本の未来を担うのは、私たちだ!
威張っていられるのも、今だけだぞ!
私たちは奴隷じゃない!
就活生は声上げよう!労働者も声上げよう!
就活をぶっ壊す!

 

*沿道への呼びかけ案
お騒がせしています。私たちは「日本の就活はおかしい」と感じ、デモをしています。新卒一括採用、就活の早期化・長期化、女性やLGBTへの差別など問題点は山のようにあります。就活に違和感のある方は、ぜひ就活デモにご参加ください!#(ハッシュタグ)就活デモ2020で、一緒に声を上げていきましょう。

リクルート・経団連直撃のデモルート発表 集合場所と時刻も

お待たせしました!デモ申請を無事に終えましたので、デモ当日の集合時刻や場所等を連絡します。

 

【集合時刻】11月23日(月・祝)14:00

【集合場所】日比谷公園中幸門(最寄り駅:霞が関駅、日比谷駅など)

【解散場所】神田橋公園

日比谷公園を出発し、リクルート本社のある東京駅方面に歩いていきます。

解散後、すぐそばにある経団連会館前に移動して16時頃まで情宣活動を行います。

 

【諸連絡】

・体調が優れない方のご参加は、申し訳ありませんがご遠慮ください。#就活デモ2020のハッシュタグでの応援をよろしくお願いします。

・マスク着用をお願いします。運営でもマスクをいくつか準備していますので、必要な場合はお声がけください。マスクをつけられない事情がある場合には、配慮します。

・一定の距離を保ってのご参加をお願いします。

・いくつかプラカードを用意していますが、自作のプラカードも大歓迎です!

・顔を隠しての参加も大丈夫です。サングラスや帽子、仮装などでの対処をお願いします。

・途中参加、途中離脱OKです。

・何かご不明な点やご心配なことがありましたら、就活デモのメールアドレス(syukatu.demo@gmail.com)かTwitterのDMまでお願いします。

「23歳トランスジェンダー。希望は、デモ。」トランスジェンダーと就活における差別

トランスジェンダーの就活生からのアピールを掲載します。

 

こんにちは。トランスジェンダーの就活について知ってほしいと思い、寄稿しました。トランスジェンダーとは、生まれたときに割り当てられた性別に違和感を持ち、別の性別で生きようとする人々のことです。私もトランスジェンダーです。LGBTと呼ばれる性的マイノリティーのうち、Tのtrans genderがそれにあたります。トランスジェンダーの芸能人やトランスジェンダーを取り上げた映画も増えているので、「そういう人もいるんだ」と知っている人も多いかもしれません。生まれたときの性別で葛藤を抱えながら過ごしている人もいれば、望む性別で他の人にトランスジェンダーであることを気づかれずに暮らしている人、性別を移行中の人など、トランスジェンダーの中にも様々な人がいます。

 

そんなトランスジェンダーと就活に何の関係があるの?と思われるかもしれませんが、実はトランスジェンダーは就活で他の人よりも困ることが多いです。NPOの調査では、トランスジェンダーの9割が就活で困難に直面するといわれています。例えば、履歴書の性別欄や男女別のリクルートスーツやスカート、髪型などのマナー、こんな当たり前のことがトランスジェンダーにとっては障害になります。ここでは、トランスジェンダーの就活生なんて、まるで存在しないかのように扱われています。また、企業の心無い言動にも晒されます。例えば、説明会で人事担当者に顔をのぞきこまれて性別をしつこく尋ねられたり、面接で「性別適合手術を受ける予定はある?」「好きになる性別はどっち?」と聞かれたりしたこともありました。他にも、「入社するなら髪は切ってもらう」、「ネクタイをしないと社外の人に会わせられない」と言われたこともあります。性別欄を「その他」で登録していたにも関わらず、会ってからオファーサイトのオファーを取り消されたこともありました。これらは全て私の実体験です。

 

仕事をする以上、相手に不快感を与えない見た目が大事なことは重々承知しています。しかし、私(たち)も働かなければ生きていけないのです。不適切な例えかもしれませんが、黒人の方に「肌を白くしろ!」といえば、明らかに差別です。肌の色も性別も自分では選べないのに、なぜこんな差別が横行しているのでしょうか。また、トランスジェンダーにプライバシーは無いのでしょうか?ただでさえ就活は大変なのに、トランスジェンダーとして更なる困難も受けなければならないのは、あまりにも負担が重すぎます。どうか分かってほしいです。

 

多様性を認めている企業に行けばいいという意見もあると思います。私もそう考えましたが、実際にはダイバーシティーといっても、従業員の国籍が多様なこと、「女性」を多く採用していること、同性パートナシップを認めていることなど、意味するところがバラバラで、トランスジェンダーに寛容であるとは限りませんでした。一抹の希望を感じていたダイバーシティーという文字に期待することがバカバカしくなり、次第に就活に対するモチベーションを失っていきました。

 

運よく選考が進んだところでも、トランスジェンダーであることに配慮は出来ない旨、面接で同意させられることがあり、非常に疲れました。配慮されないというのは、生まれた時の性別で扱われるということです。トランスジェンダーではない人に、異性のトイレと更衣室を使えと命令すればほぼ犯罪レベルなのに、トランスジェンダーになら許されるのは納得出来ません。しかし、どうしても入りたかった会社なので、その時は同意せざるを得ませんでした。結局、その会社には落ちてしまったのですが、仮に入社できたとしても、そんなストレスフルな状態では長く続かなかったと思います。

 

あまりにも自分の力ではどうしようもないことが続くので、圧倒的な無力感に苛まれ、どうせ私には何も出来ないと最初から諦めてしまう癖がついてしまったように思います。また、生まれた時に全て決まってしまうなら、努力することに何の価値があるのだろう?と最近はよく感じます。私は、いわゆる偏差値の高い大学に在籍しているのですが、どうせ就職できないなら勉強する意味もそんなに無かったのかなと感じています。どんなに努力しても、生まれたときの性別を理由に叩き落される社会。それが私たちの社会なのでしょうか?

 

厚生労働省の「公正な採用選考の基本」では、LGBTを排除しないように書いてあるそうですが、実際には守られていないと思います。企業にも必要とされず、国からも守ってもらえない存在だと思うと、悲しくなってきます。働けずに飢え死にするぐらいなら、自分の手で自分を殺してしまいたいという気持ちになることもあります。それでニュースになれば、未来のトランスジェンダーたちが苦労しなくてすむ社会になるかもしれないという思いもあります。

 

しかし、私たちの社会は人が死なないと変わらないほど薄情な社会ではないと信じたいです。大げさかもしれませんが、就活デモのような形で思いを伝え、社会が変えられることに希望を感じています。誰かが決めたルールに一方的に従わされるのは、もう終わりにしたいです。理不尽だと感じたことには意見を言っていいということが新しい常識になってほしいなと思います。

 

参加されるみなさんには、ご自身の不満や怒りを大事にしていただく一方で、マイノリティーの存在にも思いをはせていただけるとうれしいです。それぞれが求めていること、感じていることは違うかもしれませんが、よりよい社会を求めて、連帯していくことは出来るはずです。当日の成功を願っています。

 

[11/22追記 タイトルと紹介文を一部修正しました。本文は変えていません。]

「声をあげようと伝えたい」普通の日本の若者が就活デモに参加する理由

今回は、就活デモを企画する運営メンバーへのインタビューをお届けします。

 

―就活デモの企画に加わったきっかけはなんですか?

直接的には誘われたからですが、趣旨に共感したからです。僕自身も就活に理不尽なところがあると感じていました。就活を振り返ると、不透明な企業側の採用方針や就活マナーに振り回され、いつも精神をすり減らしていました。とはいえ、なんだかんだ文句を言いながらも、結局は企業に忖度して従わざるを得ないのが現実だと思います。しかし、制度やシステムがおかしいならおかしいと、声をあげることが大事ですよね。それに、もし、僕らの動きを通じて、社会全体に考えるきっかけを作れるとするならば、面白いことだと感じます。

 

 

―普段からデモには参加しますか?政治によく意見を言うタイプですか?

デモに参加するのは初めてです。政治や社会問題に意見を言うことは、若者や同世代にとってはハードルが高い気がします。「安倍政権反対」とか「憲法改正推進」など政治的なことを主張する人は、意識が高い人というイメージでした。僕自身は、全く意識が高い人ではありません。というのも、「安倍政権はやめろ」とか「資本主義倒せ」とか言われると、なんだか距離を感じてしまうからです。大事な問題なのでしょうけど、具体的にどう自分が被害を被っているのか、というと実感がわかないです。就活の場合は、就活が嫌だなという実感はあるので、意識高い人ではないけどやる気になりました。自分が嫌だと思ったら、みんな声をあげていいんだろうなと思います。そもそも、私たちが構成する社会に関することは本来、自由に発言していいはずですしね。

 

 

―デモに参加することにためらいはありませんか?

不思議とありません。身近なテーマだからでしょうか。自分に関係することであり、主体的に関わる問題であると感じます。自分が当事者である一方で、社会的なテーマでもあるので、少しづつ社会全体のことに対して勉強できたらと思います。デモを通じて、社会に対して私たちはこう思っているということを発信したり、同じ思いを持っていることを示したりすることが出来ればいいですね。

 

 

―具体的に就活に不満を感じるところはありますか?

いろいろありますね。不透明な選考ルートは腹が立つことのひとつです。「選考には関係ありません」と言っていても、インターンで内定出していたり、「面談」や「勉強会」と称した選考を行っていたりとか、問題であると感じます。そういう方法で早い内から囲い込んでいることを知らない人もいるので、差がついてよくないと思います。後は、理不尽な就活マナーも気になります。例えば、ドアをノックする時は2回だとトイレのドアのノック回数と同じだから3回叩くとか。信じていいのかよくないのか分からないものに振り回されます。さらには、「恋愛経験を語って」など古い価値観に基づくセクハラも不快です。こうしたことが積み重なった結果、本来の就活の目的を見失ってしまうと思います。就活というのは、将来を考え、自分の行きたい企業を選ぶ主体的なプロセスであるはずです。

 

 

―どうすれば変わると思いますか?

まずは、就活生の立場から発信、問題提起していくことだと思います。正直、どう解決するかは、完璧な答えを持っているわけではありません。しかし、社会の側が問題を解決するために何かを行う機運を作ることは出来ると思います。変わる機運を作ることで、実際に変えていけると考えています。

 

 

―機運は生まれるでしょうか?

#KuTooなどきっかけは少しですが存在し、変わりつつあると感じます。#KuTooが広まる前は、ヒールが当たり前で、痛みを感じている人がいても履くことが疑われることはありませんでした。しかし、ハッシュタグを付けて発信することで一気に広がりました。就活もおかしいと共感できるものがあれば、こうしたらいいんじゃない?という議論になり、社会を少しずつ良くできるんじゃないかなと思います。

 

 

―最後に、就活生・同世代へのメッセージをお願いします。

特に、今年の就活は多くの学生が苦労して長くやっていると思います。そういう中で、すごくみんな苦しんでいると思いますが、これは変だなと感じるポイントがたくさんあると考えます。それは、あなた一人が感じたことだけじゃなくて、制度上の問題もあるはずです。制度やシステムというのは、誰かが決めた、雰囲気で決まったというルールに過ぎません。「嫌なんです!」とちゃんと声を上げようと伝えたいです。あなたも、声を上げて少しずつ変えていきませんか?

【主張】就職活動におけるジェンダーや差別の実態

今回は、就活セクハラなどジェンダーや差別に関する事項を取り上げます。出来るだけ多くの事柄を取り上げたつもりですが、全てを網羅しているわけではないことを予めお断りしておきます。女子就活生やセクシュアルマイノリティ、地方、既卒の就活生が直面する差別について少しでも知っていただけたら幸いです。

 

はじめに:なぜ差別を取り上げるのか?

差別は、差別を受けていない人には関係のないように思える話かもしれません。しかし、差別が横行すれば、差別を受ける属性の人は「努力しても意味がない」と考えるようになり、そうした無力感が社会に広まることは、日本社会にとって大きな損失になります。また、差別があると優秀な人であっても本来のパフォーマンスを発揮できなくなります。差別を受けない人にとっても、表で「社会貢献」を謳いながら、裏で差別に加担している企業で気持ちよく働けないと思います。多様性の尊重が謳われる時代だからこそ、差別の問題について全ての人に考えていただきたいです。

 

マナーから始まる差別

就職活動には、髪型から靴に至るまで細かくマナーが存在します。とりわけ、女性にはマナーとして就活メイクが求められます。メイクをする、しないのは本来、個人の自由であるはずなのに、メイクをしないだけでマナー違反とされ、メイクが薄すぎたり濃すぎたりするとこれもマナー違反とされます。「顔採用」と呼ばれる容姿による選別とあわせて、女性にだけ過剰に美を求めることは女性差別と言えるでしょう。昨年、#KuTooが話題になりましたが、女性がパンプスを履くのもマナーとされています。他にも、スカート以外認めない業界など問題は山積みです。

 

トランスジェンダーの就活生はどうする?

こうした多くのマナーは当然のように男女別になっており、面接時の座り方にさえ、男女別のルールがあります。就活本やサイトを見ると、男性は足を肩幅程度に開くのに対し、女性は足を両膝とかかとを揃えて座ることがマナーとされています。誰が決めたのかも分からないルールでも、就活生は不安だから従うしかありません。既存の男女の枠組みに当てはまらない、当てはめたくない人はどうすればよいのでしょうか?マナー以外にも履歴書の性別欄など就活は男女二元論を前提にしており、トランスジェンダーの就活生は日々差別や偏見に直面しています。LGBTの権利保障が謳われる時代の流れに逆行するものです。

 

総合職の女性採用には消極的?

先日、ある企業の総合職の説明会に女性が応募したところ、性別を理由にキャンセルされたことがTwitterで話題になりました。

「女性」理由に就職説明会の参加拒否 専門商社「冨士機材」に批判、就活生の心情は...

これ以外にも、総合職で女性の採用を抑えている事例を見聞きします。女性の就活生には、「力仕事ばかりだけど大丈夫?」と執拗に聞く企業が存在し、女性が不利になりやすい構造もあります。結婚や出産で女性がやめることを危惧している企業もあるようですが、女性というだけで差別されることは法律違反であり、ジェンダー平等の考え方にも反しています。

 

性暴力・就活セクハラの実態

昨年、大手企業の社員が就活生に対する強制わいせつの疑いで逮捕されました。内定が欲しい就活生の足元を見て、性的な関係を迫る卑劣な行為です。恋人の有無を尋ねる、2人きりの飲み会に誘う、ホテルに連れ込むなど、こうした就活セクハラは、社員と就活生の圧倒的な力関係の不均衡を利用したものです。就活の構造自体を変える必要があります。また、OBOGとのマッチングアプリを利用した就活も始まっていますが、就活セクハラの温床となりやすく、企業側の何らかの取り組みが必要だと考えます。

 

恋愛経験を聞く面接官

面談で人事から「君の恋愛経験を語って」と言われたというメンバー(男性)がいます。明らかにセクハラですし、異性愛を前提とした質問でマイノリティーへの配慮にも欠けています。語りたくない人もいるプライベートを詮索する質問で合否を左右されるのは、あまりにも不条理です。

 

既卒就活の現状

日本の就活では、新卒であることが重視されています。そのため、大学を卒業した人や転職者は、新卒採用市場では敬遠される傾向にあります。もともと既卒を採用の対象に含めなかったり、選考の過程で既卒であることだけを理由に不当に評価することで、こうした選別が行われています。政府の方針により卒業3年以内は新卒扱いとするはずで、第二新卒市場もあるものの、既卒市場は新卒と比べると、圧倒的に狭いのが現状です。チャンスが新卒の1度きりしかないことは、新卒にとっても大きなプレッシャーになります。新卒で希望の就職先に内定できなかった場合は、留年して就活をやり直す「就職留年」を選ぶ人もいることは、「新卒カード」がいかに重大な意味を持っているかを示しています。

 

地方学生の現実

企業の本社が東京や大阪に集中し、説明会や面接の度に呼び出されることで、地方の学生にとっては時間的にも経済的にも大きな負担になっています。地方の学生の中には、就活のときだけ東京に住むという人もいるほどです。コロナ禍で進められたオンラインの活用を一層増やし、そうでない場合には交通費の支給を行うなどの格差是正策が必要です。

 

出身地域・家庭環境を詮索する面接官

出身地域や家族の職業を面接官から尋ねられる事例を幾度か耳にしました。出身地や職業は元被差別部落出身者を探る目的でも尋ねられる質問であり、深刻な人権問題が含まれています。就職差別に繋がる恐れがあるとして、厚生労働省の「公正な採用選考の基本」で禁止されているはずの質問です。

 

 

以上、たくさんの不適切と思われる事例を列挙してきました。就活について考える材料となれば幸いです。結論に代えて、こうした問題がなぜ発生するのか、運営メンバー内で話してみましたので、その議論を一部紹介します。

 

まず、第一に世代間の認識の差の問題です。セクハラやLGBTという語が身近な若者世代と、上の世代との隔絶は大きいかもしれません。面接官や人事に悪意はなく、コミュニケーションのつもりで聞いたことが、現在の若者の感覚からするとセクハラと認識されることもあるでしょう。意識を変えることは、日本社会全体の課題であり、一朝一夕に実現できることではありませんが、変化に対応する意味でも求められていると言えます。

 

次に、企業と就活生の圧倒的な力関係の不均衡が問題として挙げられます。文中でも触れましたが、不適切な事例は厚生労働省の指針や男女雇用機会均等法に反している場合があり、声を上げれば調査・再発防止を行ってもらえる仕組みになっており、不適切な質問にも答える必要はありません。しかし、内定がほしい就活生にとって、どんなことでも合否に影響する可能性があるため、声をあげることは容易なことではありません。また、就活は心理的・時間的に負担が大きいため、わざわざ企業を告発するよりも泣き寝入りした方が手間がかからないという構造もあります。したがって、就活生の意識を変えることも重要ですが、企業側が研修やコンプライアンス規定で未然防止に努めると共に、告発しやすい窓口を作ることがより求められると考えています。国は、企業に不適切な質問やセクハラをしないよう、指針の周知を徹底することが必要です。

 

みなさんはどうお感じになりましたか?ぜひご意見やご感想を就活デモにお寄せください。

 

就活におけるジェンダーや差別に疑問を感じる方は、11月23日の就活デモにお越しください!

【主張】就活の早期化・長期化による大学の就職予備校化問題

これから数回にわけて就活の問題点を紹介していきます。

今回は、就活の早期化・長期化を取り上げます。

※以下、便宜上「大学」と表記していますが大学院、短期大学など他の教育機関にもあてはまる箇所もあると考えています。

 

形骸化する就活ルール 3年夏から始まる就活

政府が定める「就活ルール」では、広報活動が大学3年の3月から、採用選考活動は大学4年の6月から解禁されることになっています(21卒の場合)。しかし、実際には大学3年生の春夏には就活を始めなければ、大きく出遅れてしまいます。その原因の一つが、インターンです。

 

夏休み中には、大学3年生を対象としたインターンシップが開催され、インターンに参加するための選考が春からスタートします。インターンは、企業や仕事への理解を深める名目で開催されていますが、実際には優秀な人材を早期に獲得する場として機能しています。インターンで優れた実績を残せば、その後の選考で優遇を受けられたり、早期に内定がもらえる場合も多いです。逆にいえば、インターンに参加しなければ、こうした機会を失い、就活に出遅れることになります。

 

また、ベンチャー企業外資系企業など就活ルールに縛られない採用活動を行う企業もあり、選考活動自体が大学3年生のときに行われる場合もあります。採用活動が過熱する中で、「面談」や「セミナー」と称して実際には選考活動を行う事例もあります。

 

こうした問題は、「就職活動の早期化」と呼ばれます。また、早期に内定を獲得することができなければ、本選考も受けなければならないので「就職活動の長期化」も引き起こされます。

 

大学生活を返せ!

大学3年生といえば、より専門的な学びを深める時期であり、サークルや部活といった課外活動でも中心的な役割を担う時期でもあります。この大切な時期に、過熱化・長期化する就活に集中しなければならないことは、心理的・時間的に大きな負担になります。

 

一方で、大学4年生時の就活にも課題があります。平日にも説明会や選考が実施されるため、授業を欠席することを強いられるだけではなく、卒業論文・卒業研究の準備も並行して進めなければなりません。

 

こうした問題は、単に大学生の不利益になるだけではありません。教育機関の機能低下などに繋がる点で、社会全体にも影響を及ぼしうる問題です。

 

対案はあるのか?

以上、就活の早期化・長期化の現状と問題点を指摘してきました。ただ、「就活デモ」として、現在の就活制度に代わる完璧な対案があるわけではありません。まずは、現状の問題点を広く知っていただくことから解決への道が開かれると考えています。ご意見やご批判があれば、ぜひコメントやメールをお寄せいただければと思います。

 

その上で、団体やデモ参加者を代表する意見ではありませんが、就活の早期化・長期化を解決する大まかな方向性として考えられるものを参考として挙げておきます。

・卒業後採用(既卒採用)の拡大

・就活の時期を選べる通年採用の拡大 ただし長期化を防ぐ工夫が必要

・休日や長期休暇中の説明会や選考の開催

・選考において学業を評価対象にすること

・「就活ルール」など政府の方針決定に就活生もしくは若者の意見を反映させること

 

就活の早期化・長期化に疑問を持たれた方は、ぜひ就活デモにお集まりください!