就活デモ(就活の嫌だと思うところ、学生側からも発信していきませんか?デモ)

2020年11月23日に予定されている就活デモに関する情報を発信していきます。

【主張】就職活動におけるジェンダーや差別の実態

今回は、就活セクハラなどジェンダーや差別に関する事項を取り上げます。出来るだけ多くの事柄を取り上げたつもりですが、全てを網羅しているわけではないことを予めお断りしておきます。女子就活生やセクシュアルマイノリティ、地方、既卒の就活生が直面する差別について少しでも知っていただけたら幸いです。

 

はじめに:なぜ差別を取り上げるのか?

差別は、差別を受けていない人には関係のないように思える話かもしれません。しかし、差別が横行すれば、差別を受ける属性の人は「努力しても意味がない」と考えるようになり、そうした無力感が社会に広まることは、日本社会にとって大きな損失になります。また、差別があると優秀な人であっても本来のパフォーマンスを発揮できなくなります。差別を受けない人にとっても、表で「社会貢献」を謳いながら、裏で差別に加担している企業で気持ちよく働けないと思います。多様性の尊重が謳われる時代だからこそ、差別の問題について全ての人に考えていただきたいです。

 

マナーから始まる差別

就職活動には、髪型から靴に至るまで細かくマナーが存在します。とりわけ、女性にはマナーとして就活メイクが求められます。メイクをする、しないのは本来、個人の自由であるはずなのに、メイクをしないだけでマナー違反とされ、メイクが薄すぎたり濃すぎたりするとこれもマナー違反とされます。「顔採用」と呼ばれる容姿による選別とあわせて、女性にだけ過剰に美を求めることは女性差別と言えるでしょう。昨年、#KuTooが話題になりましたが、女性がパンプスを履くのもマナーとされています。他にも、スカート以外認めない業界など問題は山積みです。

 

トランスジェンダーの就活生はどうする?

こうした多くのマナーは当然のように男女別になっており、面接時の座り方にさえ、男女別のルールがあります。就活本やサイトを見ると、男性は足を肩幅程度に開くのに対し、女性は足を両膝とかかとを揃えて座ることがマナーとされています。誰が決めたのかも分からないルールでも、就活生は不安だから従うしかありません。既存の男女の枠組みに当てはまらない、当てはめたくない人はどうすればよいのでしょうか?マナー以外にも履歴書の性別欄など就活は男女二元論を前提にしており、トランスジェンダーの就活生は日々差別や偏見に直面しています。LGBTの権利保障が謳われる時代の流れに逆行するものです。

 

総合職の女性採用には消極的?

先日、ある企業の総合職の説明会に女性が応募したところ、性別を理由にキャンセルされたことがTwitterで話題になりました。

「女性」理由に就職説明会の参加拒否 専門商社「冨士機材」に批判、就活生の心情は...

これ以外にも、総合職で女性の採用を抑えている事例を見聞きします。女性の就活生には、「力仕事ばかりだけど大丈夫?」と執拗に聞く企業が存在し、女性が不利になりやすい構造もあります。結婚や出産で女性がやめることを危惧している企業もあるようですが、女性というだけで差別されることは法律違反であり、ジェンダー平等の考え方にも反しています。

 

性暴力・就活セクハラの実態

昨年、大手企業の社員が就活生に対する強制わいせつの疑いで逮捕されました。内定が欲しい就活生の足元を見て、性的な関係を迫る卑劣な行為です。恋人の有無を尋ねる、2人きりの飲み会に誘う、ホテルに連れ込むなど、こうした就活セクハラは、社員と就活生の圧倒的な力関係の不均衡を利用したものです。就活の構造自体を変える必要があります。また、OBOGとのマッチングアプリを利用した就活も始まっていますが、就活セクハラの温床となりやすく、企業側の何らかの取り組みが必要だと考えます。

 

恋愛経験を聞く面接官

面談で人事から「君の恋愛経験を語って」と言われたというメンバー(男性)がいます。明らかにセクハラですし、異性愛を前提とした質問でマイノリティーへの配慮にも欠けています。語りたくない人もいるプライベートを詮索する質問で合否を左右されるのは、あまりにも不条理です。

 

既卒就活の現状

日本の就活では、新卒であることが重視されています。そのため、大学を卒業した人や転職者は、新卒採用市場では敬遠される傾向にあります。もともと既卒を採用の対象に含めなかったり、選考の過程で既卒であることだけを理由に不当に評価することで、こうした選別が行われています。政府の方針により卒業3年以内は新卒扱いとするはずで、第二新卒市場もあるものの、既卒市場は新卒と比べると、圧倒的に狭いのが現状です。チャンスが新卒の1度きりしかないことは、新卒にとっても大きなプレッシャーになります。新卒で希望の就職先に内定できなかった場合は、留年して就活をやり直す「就職留年」を選ぶ人もいることは、「新卒カード」がいかに重大な意味を持っているかを示しています。

 

地方学生の現実

企業の本社が東京や大阪に集中し、説明会や面接の度に呼び出されることで、地方の学生にとっては時間的にも経済的にも大きな負担になっています。地方の学生の中には、就活のときだけ東京に住むという人もいるほどです。コロナ禍で進められたオンラインの活用を一層増やし、そうでない場合には交通費の支給を行うなどの格差是正策が必要です。

 

出身地域・家庭環境を詮索する面接官

出身地域や家族の職業を面接官から尋ねられる事例を幾度か耳にしました。出身地や職業は元被差別部落出身者を探る目的でも尋ねられる質問であり、深刻な人権問題が含まれています。就職差別に繋がる恐れがあるとして、厚生労働省の「公正な採用選考の基本」で禁止されているはずの質問です。

 

 

以上、たくさんの不適切と思われる事例を列挙してきました。就活について考える材料となれば幸いです。結論に代えて、こうした問題がなぜ発生するのか、運営メンバー内で話してみましたので、その議論を一部紹介します。

 

まず、第一に世代間の認識の差の問題です。セクハラやLGBTという語が身近な若者世代と、上の世代との隔絶は大きいかもしれません。面接官や人事に悪意はなく、コミュニケーションのつもりで聞いたことが、現在の若者の感覚からするとセクハラと認識されることもあるでしょう。意識を変えることは、日本社会全体の課題であり、一朝一夕に実現できることではありませんが、変化に対応する意味でも求められていると言えます。

 

次に、企業と就活生の圧倒的な力関係の不均衡が問題として挙げられます。文中でも触れましたが、不適切な事例は厚生労働省の指針や男女雇用機会均等法に反している場合があり、声を上げれば調査・再発防止を行ってもらえる仕組みになっており、不適切な質問にも答える必要はありません。しかし、内定がほしい就活生にとって、どんなことでも合否に影響する可能性があるため、声をあげることは容易なことではありません。また、就活は心理的・時間的に負担が大きいため、わざわざ企業を告発するよりも泣き寝入りした方が手間がかからないという構造もあります。したがって、就活生の意識を変えることも重要ですが、企業側が研修やコンプライアンス規定で未然防止に努めると共に、告発しやすい窓口を作ることがより求められると考えています。国は、企業に不適切な質問やセクハラをしないよう、指針の周知を徹底することが必要です。

 

みなさんはどうお感じになりましたか?ぜひご意見やご感想を就活デモにお寄せください。

 

就活におけるジェンダーや差別に疑問を感じる方は、11月23日の就活デモにお越しください!