就活デモ(就活の嫌だと思うところ、学生側からも発信していきませんか?デモ)

2020年11月23日に予定されている就活デモに関する情報を発信していきます。

「23歳トランスジェンダー。希望は、デモ。」トランスジェンダーと就活における差別

トランスジェンダーの就活生からのアピールを掲載します。

 

こんにちは。トランスジェンダーの就活について知ってほしいと思い、寄稿しました。トランスジェンダーとは、生まれたときに割り当てられた性別に違和感を持ち、別の性別で生きようとする人々のことです。私もトランスジェンダーです。LGBTと呼ばれる性的マイノリティーのうち、Tのtrans genderがそれにあたります。トランスジェンダーの芸能人やトランスジェンダーを取り上げた映画も増えているので、「そういう人もいるんだ」と知っている人も多いかもしれません。生まれたときの性別で葛藤を抱えながら過ごしている人もいれば、望む性別で他の人にトランスジェンダーであることを気づかれずに暮らしている人、性別を移行中の人など、トランスジェンダーの中にも様々な人がいます。

 

そんなトランスジェンダーと就活に何の関係があるの?と思われるかもしれませんが、実はトランスジェンダーは就活で他の人よりも困ることが多いです。NPOの調査では、トランスジェンダーの9割が就活で困難に直面するといわれています。例えば、履歴書の性別欄や男女別のリクルートスーツやスカート、髪型などのマナー、こんな当たり前のことがトランスジェンダーにとっては障害になります。ここでは、トランスジェンダーの就活生なんて、まるで存在しないかのように扱われています。また、企業の心無い言動にも晒されます。例えば、説明会で人事担当者に顔をのぞきこまれて性別をしつこく尋ねられたり、面接で「性別適合手術を受ける予定はある?」「好きになる性別はどっち?」と聞かれたりしたこともありました。他にも、「入社するなら髪は切ってもらう」、「ネクタイをしないと社外の人に会わせられない」と言われたこともあります。性別欄を「その他」で登録していたにも関わらず、会ってからオファーサイトのオファーを取り消されたこともありました。これらは全て私の実体験です。

 

仕事をする以上、相手に不快感を与えない見た目が大事なことは重々承知しています。しかし、私(たち)も働かなければ生きていけないのです。不適切な例えかもしれませんが、黒人の方に「肌を白くしろ!」といえば、明らかに差別です。肌の色も性別も自分では選べないのに、なぜこんな差別が横行しているのでしょうか。また、トランスジェンダーにプライバシーは無いのでしょうか?ただでさえ就活は大変なのに、トランスジェンダーとして更なる困難も受けなければならないのは、あまりにも負担が重すぎます。どうか分かってほしいです。

 

多様性を認めている企業に行けばいいという意見もあると思います。私もそう考えましたが、実際にはダイバーシティーといっても、従業員の国籍が多様なこと、「女性」を多く採用していること、同性パートナシップを認めていることなど、意味するところがバラバラで、トランスジェンダーに寛容であるとは限りませんでした。一抹の希望を感じていたダイバーシティーという文字に期待することがバカバカしくなり、次第に就活に対するモチベーションを失っていきました。

 

運よく選考が進んだところでも、トランスジェンダーであることに配慮は出来ない旨、面接で同意させられることがあり、非常に疲れました。配慮されないというのは、生まれた時の性別で扱われるということです。トランスジェンダーではない人に、異性のトイレと更衣室を使えと命令すればほぼ犯罪レベルなのに、トランスジェンダーになら許されるのは納得出来ません。しかし、どうしても入りたかった会社なので、その時は同意せざるを得ませんでした。結局、その会社には落ちてしまったのですが、仮に入社できたとしても、そんなストレスフルな状態では長く続かなかったと思います。

 

あまりにも自分の力ではどうしようもないことが続くので、圧倒的な無力感に苛まれ、どうせ私には何も出来ないと最初から諦めてしまう癖がついてしまったように思います。また、生まれた時に全て決まってしまうなら、努力することに何の価値があるのだろう?と最近はよく感じます。私は、いわゆる偏差値の高い大学に在籍しているのですが、どうせ就職できないなら勉強する意味もそんなに無かったのかなと感じています。どんなに努力しても、生まれたときの性別を理由に叩き落される社会。それが私たちの社会なのでしょうか?

 

厚生労働省の「公正な採用選考の基本」では、LGBTを排除しないように書いてあるそうですが、実際には守られていないと思います。企業にも必要とされず、国からも守ってもらえない存在だと思うと、悲しくなってきます。働けずに飢え死にするぐらいなら、自分の手で自分を殺してしまいたいという気持ちになることもあります。それでニュースになれば、未来のトランスジェンダーたちが苦労しなくてすむ社会になるかもしれないという思いもあります。

 

しかし、私たちの社会は人が死なないと変わらないほど薄情な社会ではないと信じたいです。大げさかもしれませんが、就活デモのような形で思いを伝え、社会が変えられることに希望を感じています。誰かが決めたルールに一方的に従わされるのは、もう終わりにしたいです。理不尽だと感じたことには意見を言っていいということが新しい常識になってほしいなと思います。

 

参加されるみなさんには、ご自身の不満や怒りを大事にしていただく一方で、マイノリティーの存在にも思いをはせていただけるとうれしいです。それぞれが求めていること、感じていることは違うかもしれませんが、よりよい社会を求めて、連帯していくことは出来るはずです。当日の成功を願っています。

 

[11/22追記 タイトルと紹介文を一部修正しました。本文は変えていません。]